結の冬の定番の河豚は頭やかましたを唐揚げに、身を昆布じめに、身の筋肉をフリットにします。残る中骨や口先を使いスープをとります。日本酒や生姜やネギや浄水であくをとりつつ15分位でしょうか。途中昆布じめで使用した昆布も加えます。紙で濾し、急冷します。仕込んだら出し惜しみせず、どんどん使い、いい状態のスープを召し上がっていただきます。
私が今まで励んできたフランス料理の技法では玉ねぎやにんにく等の香味野菜やタイム等のハーブ、胡椒やコリアンドル等の香辛料、白ワインを使用する『フユメ ド ポアソン』が近いものです。(フユメは基本的にソースやその後澄ましてジュレにするので実際大きく違いますが)現在のやり方はふぐからいい出汁がとれるのでスープどうだろう。が出発点でやっぱりネギや生姜ははずせない、臭みがほとんどないふぐに香味野菜必要か?そもそも当たり前に入れるにんにくはふぐに対し強すぎるし、ハーブもどうなんだろう、お客様皆日本人だし、昆布のまるみ、いいよな。と変化していきました。しっかり煮だすと全ての要素がまとまりすぎるように感じるので、煮るのは短時間にとどめます。生姜やねぎがふわりと香り、クリアーな河豚の旨さで気に入ってます。私が働いた南仏のレストランではフユメを2時間も火にかけ、あまり火加減もあくとりも重視していませんでした。とことん素材のエキスを抽出し、ソースをうまくするためのようです。
誤解のないように念のため書きますが、なにかを否定しているわけではありません。いままで学んできたフランス料理は精神的にも技術的にもおおきな支えです。そのなかで自分が手にした魚をどう調理するべきか?またご年配、女性のお客様に美味しく召し上がっていただくことを考えた結果の変化です。
このスープにふぐのつみれや焼いた白子をいれるとこの時期ピッタリの1品になります。