もう去年の秋になってしまいましたが、後輩から電話をもらいました。その日早朝から仕込みに入っていてお客様がかけてこない時間帯です。誰からだろうと思いながら受話器をとりました。
お電話ありがとうございます。レストラン結です。
(サトウです。)
? ⁇ サトウ様、、
(ご無沙汰しています。佐藤です。)
⁇ ! 佐藤か!
(はい。佐藤です。台風ひどかったそうで大丈夫でしたか?)
軽井沢時代の後輩で心配で連絡をくれたようです。たしか半年以上前にフランスにいってたよなと聞いたら今リヨンで働いてるとのこと。なんでもWi-Fiでなんとかかんとかでタダで国際電話がつながるらしく携帯でなく店の固定電話にかけてるらしいです。遠く離れた日本のリアルタイムの情報にしてもこの電話にしても私がフランスにいた時よりだいぶ進んでいるようです。
佐藤とは5年間同じ釜の飯を食べました。軽井沢の同じ店で働く前、彼は少しつまずいて、私と出会ったときが彼のリスタートのときでした。年齢も一回り下で当時はまだまだでした。しかししばらくして彼はそうとう伸びると思いました。彼は人を思う優しい心があったからです。私もずいぶん助けてもらいました。
料理人は専門的な技術や知識を要するのでセンスが第一のようですが、実は一番大事なのはハートと考えています。あくまで私見ですが。すくなくともセンスよく、向上心を持ち、努力を重ねた人間が全て報われる世界でないことは確かです。他どの職種もそうじゃないかと思いますが、ハートというか人間性というか、それって第一に必要なものではないでしょうか。佐藤はひとより努力しつつ、現状に甘んじることなく、常に先をめざし、かつハートのある素敵なやつです。
彼といっしょに働いていたのはもう6年前です。その頃からこいつは近いうちに日本のフランス料理界をしょって立つんだろうと見てました。六年前にワーキングホリデーで渡仏し、帰国し、前に勤めた軽井沢の店で料理長になり、今回再渡仏しました。
さて彼は現在リヨンでワーホリ時代に勤めてた店で料理長です。フランス人の部下を引き連れ店のほとんどを任されています。このように人脈を形成するのはいかにも彼らしくフランス人の社長も彼になにかをみてるに違いありません。フランスでEU圏外の外国人の労働ビザ取得には様々なハードルがあります。そこに踏み込み佐藤のビザをとったのだから、よっぽどです。
これからもさらにのびて日本を代表する一人になってもらいたいです。特に私ができることはありませんが心より応援しています。